保護猫さん-其の6。



翌日、再びおばあさんが訪ねて来ました。去勢手術の足しにしてほしいと、白い封筒に入ったお金を持って。話しの様子から、年金でひとり暮らしをされているようです。私はお金をいただくなど思ってもいなかったのと、ましてや大切な年金を受け取るなどとてもできませんと辞退したのですが、去勢のことはおばあさんも気になっていたということでした。気にはなるものの、自転車にも乗れないので病院にも連れて行けず今まで来てしまったと後悔していました。私はこの年代の人は去勢のことなど考えてもいないのだろうと思っていたので正直、意外でした。他にも医療費がかかることもわかっているので、せめて手術の費用だけでも受け取ってほしいといわれ、おばあさんの気持ちを無駄にしないように受け取ることにしました。

その日の猫は、おばあさんの足音がドアの前まで来るとニャァオニァオと大きな声でないてケージの入口までやって来ていました。そして、おばあさんはひとしきり猫を撫でてやったあと「よかったなぁ、よかったなぁ、ええ人にもろてもろて。ええコぉにしてるんやで、幸せになりなぁよ」と言い聞かせて別れを告げました。猫は昨日以上に別れを惜しみ、私がおばあさんを外まで送って行くあいだも悲しいほど大きな声でなき続けていました。

私はたまらず、こちらで引き取るのは一向に構いませんがおばあさんは寂しくないですか?本当にいいんですか?とおばあさんに何度も尋ねると「私もいつまでもいてへんさかい、あのコのためにはそのほうがええんよ」「ほんまに世話かけますけど、よろしくお願いしときます」。その後もありがとう、ありがとうと何度も何度も頭を下げて帰って行く小さな後ろ姿を切ない思いで見送りました。

おばあさんが帰ったあとの猫は、もうおばあさんのところに帰れないということがわかったのでしょうか、何かがふっ切れたように私たちにも心を開き、からだをすり寄せるまでになりました。今後は、骨折した足を動かさないため可哀想ですがあと1ヶ月くらいはケージの中での窮屈な生活を強いることになります。1ヶ月半もの間、ギプスで固定した足はどのくらいで回復するのか見当もつきません。エイズが発症した場合のことも、考えると不安が尽きません。このコから、優しいおばあさんとの暮らしや自由な外猫生活を奪うことになりましたが、それ以上に幸せだと思えるように大切にして行くつもりです。

猫は人の恩など秒殺で忘れる生き物だと思っていた私は、今回のことで胸がしめつけられる思いでしたが、果たして我が家のキャツらがどこかで迷って私たちと再会した時、こんな反応をするんだろうか。ちゃっかりどこかの飼い猫になって自由な猫生活をエンジョイしてるんぢゃぁないだろうか…なんゾと、ふと思った今日この頃です(^^;

コメント
昨年カレンダーを購入していらいブログ読んでいます。

今回の記事は涙とともに読みました。
保護猫さんはおばあちゃんが大好きだったんですね。
時々会いに来てくれるといいですね。
高齢者と同居犬・猫の問題を感じました。

でも猫ちゃんわーぷさんの家で幸せに暮らすことでしょうね!
  • ステラ
  • 2006/11/05 7:50 PM
おばあさんを求めて大声で泣き続ける猫ちゃんの気持ちを思うと本当に悲しくて仕方ありませんでしたが、わーぷさんたちにも心を開き始めたとか、よかったですね!猫は交通事故に合うとショックでそれだけで死んでしまうことがあるようです。でもこの猫ちゃんはとても運が強いようですね。猫は変わり身も早いようですので、わーぷさんところで最初から飼われていたようにすぐに皆と遊ぶようになることでしょうね!エイズ問題がちょっと心配ですけど、発症しないこともあるようなので。
  • meru
  • 2006/11/06 11:25 AM
今回はコメントで・・・
 世話していた方が見つかったのですね。きっと保護ちゃんは足音や声や匂いや声の響きを懐かしく思い出したのでしょう。
 おばあさんが現れたことで、緊張がほぐれて安心したみたいですね。飼い主というものはそういう意味でも重たい責任を感じさせられます。
  おばあさんは、きっと見捨てては置けない気持ちで、食べるだけでも世話してやろうという考えでこれまできたのかもしれません。私の区域でも年配の人はそういう飼いかたをしておられる人が多いです。昔はそれでも良い時代だったと思いますが、今ではそうはいきませんものね。
 わーぷさんの哀れみにすがるしかない保護ちゃんでしたね。
いつもいつも思うに、ペットも自由に放し飼いが出来る環境を実現出来ればどんなに良いか・・・人がほんの少し動物に優しく共存しようとするだけでどんなに変わることか・・・少数の心優しいボランティアが唯一の救いでしょうか?
  • なな
  • 2006/11/06 11:36 AM
【Re:ステラさんへ】
ステラさま、こんにちは!
去年はカレンダーをご購入くださりありがとうございました。今年は残念ながら時間がなくて断念することにしましたが、また機会があればどうかよろしくお願いいたします。
それから、ステラさんがブログを読んでくださっていたなんて、大変に嬉し&恥ずかしで恐縮していますが、こうしてコメントをいただくと励みになります、ありがとうございます。またヨロシクお願いします。

そして今回、この猫ちゃんを保護したことは、人間との絆やいろんな飼い方の是非などをあらためて考えることにもなりました。私にとっては良かったと思います。
  • わーぷ
  • 2006/11/06 2:00 PM
【Re:meruさんへ】
meruさん、いつもコメントありがとうございます。
本当に、おばあさんの小さな背中を見送ったときは切なく複雑でしたが、室内飼いができないという以上、仕方のないことかと自分を納得させました。

エイズが強陽性というのは具体的にどうなのか、じつは私にはよくわかっていません。発症したらどうなるのか、考えると不安ですがそうならないことを祈っています。また、発症した場合もこのコと私たちの運命なんだと受け入れるようにしたいと思います。ただ、感染率は相当に高いらしいので、他のキャツらとは一緒にできません。それだけがちょっと可哀想かなと思っていますが…。
  • わーぷ
  • 2006/11/06 2:08 PM
【Re:ななさんへ】
ななさん、コメントありがとうございます。
猫に限らずですが、動物たちとの共存についていつも考えてしまいます。結局は人間の身勝手から増え、そして餓えて、最後は哀れな末路を辿ることが多い現状に強い憤りを禁じ得ません。ななさんがおっしゃるように共存できる世の中が一番望ましいですね。ひとりひとりの意識によって変えられるはずなのですが。今回のことで私もいろいろ考え、良い経験になったと思います。
  • わーぷ
  • 2006/11/06 2:18 PM
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